肺から空気がもれて、胸腔(きょうくう)にたまっている状態をいいます。空気が溜まると肋骨に囲まれた肺はうまく膨らめなくなり縮んでしまいます。つまり肺の空気漏れにより肺が縮むことを気胸と呼びます。症状は咳、呼吸困難、胸痛のほか、溜まった空気が大きな血管を圧迫し血圧の低下をきたすこともあります。
痩せ型の20歳代前後の若い男性に多く、はっきりした原因なく突然起こります。
肺の一部に風船の様な弱い部分(ブラ)ができ、そこから空気漏れを起こします(自然気胸)。一方中年〜高齢の方で肺に疾患がある(長年喫煙している、肺がんがあるなど)場合はそれをきっかけに起こることもあります(続発性気胸)。
また外傷に伴うもの、女性では月経に関連する気胸もあります。
①軽い気胸の場合は経過観察で自然に治ることがあります。
②自然治癒が難しい場合は溜まった空気を体の外に逃がし、肺の膨らみを助けるためにドレーン(管)を胸腔に挿入します(胸腔ドレナージ)。肺からの漏れが確認できなくなればドレーンを抜いて退院することができ、1週間前後の入院になります。
③ドレーンを入れても空気漏れが続く場合は手術が必要になることがあります。また一度良くなりその後再発してしまった場合も患者さんと相談して手術を検討します。
当院の気胸手術は全身麻酔下で、ほとんどの場合胸腔鏡を用いて行います。空気が漏れているブラを自動縫合器で切除し、縫口からの再発を防ぐためシートで補強する方法を採用しています。術後は通常2〜3日で退院可能です。
愛知医科大学呼吸器外科では年間約30件の気胸手術を行っております。ぜひご相談ください。
写真1:右気胸のレントゲン写真。肺が虚脱しています(空気が抜けてつぶれている)。
写真2:気胸をほおっておくと「緊張性気胸」という重大な病態になることがあります。